2020年3月8日日曜日

ダイヤモンド・ダスト


確かユーミン(松任谷由実)の曲に、「ダイヤモンド・ダストが消えぬ間に」という1曲があったと思う。でも、こちらのダイヤモンド・ダストは、なぜかダイビング中の水中の気泡だったり、シャンパンの泡だったと記憶する。本当のダイヤモンド・ダストは、空気の泡じゃなくて、氷の結晶だ。気温が氷点下15℃よりも下がると、空気中の水蒸気が氷として析出して、小さな粒が光輝いて見えるさまだ。
いくつか気象条件が重ならないと見えないので、ここ美瑛にいても冬の間は毎日のように見えるわけでもない。だいたい厳冬期の2か月間くらいは、週に2~3回くらい見ることができる。さらに好条件が重なると、ものすごい量のダストが舞い、それはそれは美しい♬大雑把だけれども、週に1回か、10日に1回くらいそんな日に巡り合う。

2015年の2月にもダイヤモンド・ダストのことは書いたので、この現象の現れる気象条件などについては省略する。また、美しいダイヤモンド・ダストが見える場所と言うのも限られる。水蒸気が多く含まれそうな川面、つまり橋の上からはたいてい見ることができるし、落差があった方が(見下ろせる場所)いいと思う。
今回も2015年と同じ場所に陣取ってみたが、この5年間でさらに人気のスポットになっていて、2月9日に出かけたときはクルマは100台以上、撮影している人はもっといたようだ。嬉しかったのは、皆さんマナーがよくて、駐車場のないその場所でも、片側にきちんと車を停めて、またドローンを持ち込むこともなく写真撮影に勤しんでいた。とは言っても生活道路として通勤などに使う人にとっては邪魔以外の何物でもなさそうではある。気温マイナス30℃(29.8℃)まで下がる厳しい朝だったけれども、ダイヤモンド・ダストはほんの少ししか見えなかった。
家を出るころ、夜明け前5時半。 
日付変わって2月29日。ちまたはコロナウィルス感染予防の観点から、不要不急の外出は避けましょうとなって間もない。本当はのこのこと写真撮りに行くのも憚られる時節柄・・・とは思ったけれども、お客様もいらっしゃらない家の中で(本当に、宿泊されるお客様は激減しました!)、ちんまりと過ごしているだけでは詰まらない・・・。せっかく晴れた日の朝なので、思い切って出かけることにした。
冬至の頃、日の出は午前7時を過ぎるくらいだったけれども、もう1時間以上も早くなっている。我が家からダイヤモンド・ダストが盛大に見える場所までは、およそ15分。5時過ぎには準備を始めて、5時半には家を出たい。家を出ると、まだ群青色の空に、わずかに陽の光の赤い色が滲んで、なんとも空のグラデーションが美しい。気温マイナス23℃、たぶんこの冬のラスト・チャンスだ。

見え始めたダイヤモンド・ダスト(肉眼) 
果たして現地に到着すると、クルマ6台(最終的には15台くらいでした)。先回来た時の10分の1程度しか人だかりは無い。ほどなく日が昇り、無風で好条件が重なったこの日は美しいダイヤモンド・ダストに出会うことができた。おまけに人の出はまばらで、神聖なとまでは言わないけれども不思議な自然現象に、静かに感動することさえ出来た。きっと2000年頃は、この場所はこんな感じだったと思う。広い場所にせいぜい10人くらいの好事家が(物好きが)集まって、珍しいダイヤモンド・ダストを見ていたんじゃないだろうか。今やそんな贅沢は夢のまた夢。NHKはじめテレビ関係の報道陣さえ集まるこの場所は、冬の日の早朝には人混みで身動きさえ不自由なくらいだ。
盛大に舞っています1  
今回はコロナウィルスの蔓延防止+2月9日よりも条件悪い予報(気温の予報はマイナス18℃止まり)だったこともあって、がら隙きの状態で乱舞するダイヤモンド・ダストを拝むことができた。日の出直後の太陽光はオレンヂ色で、ダイヤモンド・ダストもオレンヂの色に染まる。日が高くなると太陽が真っ白になって、ダストもダイヤモンドのように純白に。僕はどちらかと言うとトルコ石みたいな色をした、日の出直後のダイヤモンド・ダストが好きだな。
 
盛大に舞っています2 
振出しに戻って、ユーミンの曲。ダイヤモンド・ダストを泡になぞらえて、はかなくすぐに消えてしまうもの、という表現はとても的を射ていると思う。今度はぜひ、ホンモノのダイヤモンド・ダストを題材に曲を書き下ろしてもらえたらいいね。そのためには実際に見てもらうしかないんだけどなぁ、この実に美しい自然現象を!

2020年3月1日日曜日

クリーム・ブリュレ。

この洋菓子を知ったのは、いつだっただろう?もともとプリンがそんなに好きではなかった僕が、いつしかプリン好きになったのは30歳を過ぎてからだと思う。きっとろくでもないプリンばっかり食べていて、美味しいプリンを知らなかっただけじゃなかったのかと、今ではそんな気がしている。
クリーム・ブリュレに初めて出会ったのは、とっくにプリン好きになった後だったので、このプリンをさらにオシャレにした洋菓子を、あっという間に大好きになったのは言うまでもない。

さて、ここで少々脱線する。1つ前の記事で映画を見せていただいたお宅の主が、映画を観終わった後に紅茶を淹れてくれた。映画の余韻と共にいただいた紅茶が美味しかったので(どちらかと言うとコーヒー派の僕だけど)、紅茶葉のことが話題になった。なんでも旭川市内の紅茶専門店で毎度手に入れていると言うそのお店ライフラプサンは、北海道最古の紅茶専門店だというのだ!
歴史の浅い軍都、旭川に「北海道最古の」なんてあるのだろうか・・・?と思わないわけではなかったけれども、彼はもともと判事さんで、モノゴトを正確に判断する癖がついていらっしゃるから、嘘であるはずがない。
それで、日を改めて行ってみようとなった。果たしてそのお店は旭川市東光(旭川東警察署の少し美瑛より)にあって、開店以来40年になる老舗だった。店内は40年の古さは微塵もなく(と言っても最近の洗練されたモダンな雰囲気ではないけれども)、適度に古さのある、居心地のいいお店でちょっぴり長居してしまいたくなる雰囲気だった。せっかくなので紅茶をいただき(2袋ほど茶葉も購入)、お供に選んだ洋菓子がクリーム・ブリュレだった。

北海道で最も歴史ある紅茶専門店_ライフラプサン

そうだ、クリーム・ブリュレ、自分でも焼いてみよう!とこの時強く意識して、家に帰るとさっそくレシピのチェック。今のご時世、ちょっとPCを覗けば、このくらいの情報はいくらでも手に入る。全くもって便利な世の中になったものです(困ったことも多々あるけど)。
ハナシはさらに3年前に遡る。実はクリーム・ブリュレ作りたい病は以前からあって、やりたいなぁーとぼやく自分の小言を聞いていたスタッフの一人が、見かねて僕にガス・バーナーをプレゼントしてくれた。これはもちろんクリーム・ブリュレの仕上げに必要なもので(なくてもできないことはないけど、超面倒)、この時よし、やるぞ!と一瞬思ったものの新館「丘のほとり」完成間近のあわただしい時期に重なって、ついに今までやらずじまいで来てしまっていたのだ。
ま、今は残念ながら暇もある。神様が少しは前向きなことをやりなさいなと仕向けているに違いないから、クリーム・ブリュレ、作ってみましたよ。プリンと比較しても、多少こっちの方が簡単にできると思う。難点は、卵の白身が余ること・・・。僕は余りが出るレシピは、本当はやりたくないんだよなぁー。

焼き上げること70分(長い!)、ちょっと気をもんだけれども実にうまい具合に完成♬食べるタイミングに少々間に合わなかったので、冷やしは外で(この点北海道の冬はいいよね)。最後のキャラメリゼに、いよいよガス・バーナー登場で、グラニュー糖を焼いて出来上がり。見た目も美しく、食べてもとても美味しく、一緒に淹れたコーヒーとの相性も抜群で言うことなし!!!
次回は少し温度を上げて、30分程度で焼いてみようと思う。


ちなみに紅茶葉を買いに行ったついでに気になるコーヒー・ショップも梯子した。さすがにお腹ちゃぱちゃぱで、コーヒーを飲むことはできなかったけれども、豆は買ってきた。旭川最古のカフェ、ちろると、ちろるからほど近い買物公園通り沿いの超人気店、宮越コーヒー旭川店。どちらのコーヒー豆も美味しいコーヒーを淹れることができたし、でもってこの2店、お店の雰囲気もいいんだよね。今度行ったときは、ぜひコーヒーを飲んでくるとしよう! ちろるは、旭川の作家、三浦綾子が何度も訪れた喫茶店。氷点執筆中の1963~1964年当時、まだ喫茶店なるお店は少なかったのかもしれませんね。81年の歴史あるちろるも、ずっと健在であって欲しいです。