お隣、富良野市の少しハイクラスな宿”富良野ホテル”が、営業停止になりました。経営の真相は知るすべもありませんが、経営を担っていた第一ホテルグループは建物等の賃貸契約を延長せず、この(2025年)2月末をもって営業終了となってしまいました。
富良野は美瑛と違って、夏以外にも冬季の繁忙期があり、宿泊施設を経営する環境は良いと思います。世界屈指と言ってもいい富良野スキー場を有し、富良野の雪質の良さも相まって、冬季の人気も非常に高いです。その点びえいは真冬の集客はこれと言った訴求ポイントが無いので、夏にしか繁忙期が無いのは経営的には痛いところです。
また、南富良野町のかなやま湖ログホテルラーチもこの秋10月をもっていったん営業終了し、鶴雅グループに売却する方向で内定している様子です。
富良野ホテルへは、3年ほど前に1度泊まりに行ったことがあります。ちょっと高級感あるホテルで(実際高かったし)、僕にとっては場違いな雰囲気でしたが、たまにはそんな雰囲気の中、学んでくることもあるだろうと出かけました。
もともと、大手企業の保養所でスタートした富良野ホテルは、会議室と言うかオープン・スペースのような空間が結構あって、無駄とも思えるし空間遣いが伸びやかでいいかな、とも感じました。ダイニングスペースも広々としていて、さすがこのクラス!ワインの品ぞろえもボルドーの5大シャトーを中心に、著名なものは一通り持っているようでした(それだけでも数百万・・・)。20室足らずの客室数でしたが、やや高額な価格設定として、うまくやっていらっしゃるように思えたのです。実際に僕が泊まったのはちょうど今頃、スキー場も終わりになる3月下旬だったと記憶しますが、5、6組のお客様が泊まっていたと記憶しています。
そんなことをつらつらと思い出していると、全国の地価の上昇率で、住宅地では富良野市が全国1位(31.3%/この1年で)というニュースが飛び込んできました。JR富良野駅からは離れた北の峰周辺がその対象らしく、少し前のニセコ(倶知安町)の後を追うような状況だと思います。
ニュースを少しだけ見た範囲ですが、その人気(上昇の原因)はほとんどが外国人需要によってもたらされているようです。そして、日本でも(ニュースでは世界屈指の)雪質のいいゲレンデ(富良野スキー場)がそれを大いに後押ししていると報じていました。
ってことは、富良野ホテルなんかは北の峰からは少し離れるにしても、富良野スキー場は目と鼻の先。立地的にはすごくいい環境だと思えてなりません。
しかしながら、僕自身も宿泊業の端くれとして感じるのは、この業界の経営の厳しさです。まだ記憶に新しい(と言いながら、ちょっと薄れて来たかも?)コロナ禍で、全ての宿泊施設は大打撃を受けました。飲食業には手厚い対応が政府からなされ、私たち宿泊業にもその恩恵は(飲食業には及ばないでしたが)もたされました。
もちろんその恩恵だけではとても2年半のコロナ禍を乗り切ることはできず、大多数の宿泊業者は、金融機関から大きな借り入れをしたはずです。当館もそうです。そして2023年頃からその返済が始まっているので、返済開始から概ね2年後の今(2025年3月)、どこの宿泊業者も返済に追われているのが現状です。
そこそこ集客力のある宿泊施設は回転資金がつながると思いますが、もともと初期費用も運転資金も結構な額を必要とするこの業界は、少しの集客の翳りで、瞬く間に資金ショートを起こしてしまいます。いくら富良野の地価が高騰するといえども、ライバル乱立するこの地で、ちょっとした経営の方針ミスが致命傷になりえます。
私の手元に、昨年の夏打たれた、富良野ホテルのA4サイズ1枚のPRパンフがあります。シニアソムリエと共に3つのワイナリーをめぐる富良野ホテルのスペシャルプラン・・・。正直魅力的な素敵なプランだな、と思ったものです。繁忙期(8月)ゆえ、また高額(1泊12万円)なため、参加には至りませんでしたが、僕自身もこんな企画はやってみたいとさえ思いました。
その富良野ホテルさんも廃業。華やかに地価高騰がニュースになる富良野ではあるけれども、ちょっと舞台裏をのぞいてしまうと、厳しい現実が待っていますよね。
お話は少し飛びますが、先日(今月初旬)、所用で小樽にでかけました。懇意にしている宿仲間が取ってくれたのは、ノイシュロス・小樽という老舗ホテル。正直外観はボロボロでネット上では幽霊が出る、という噂もあるようでしたが、料理は丁寧に作られていて非常に美味しかったし、お部屋も快適でした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ホテルノイシュロス小樽
このホテル、1965年の"祝津観光ホテル天望閣"が前身。何度もの経営破綻やM&Aを経て今に至っています。泊まった印象は、お客様をとても大切にしていると言うこと。
想像を絶するほどの初期投資を必要とするホテルではありますが、こういった丁寧な接客を心がける快適な宿泊施設が、何とか生き延びていって欲しいと願わずにはいられません。と同時に、同じ業界に身を置く僕自身も、あらためてこの世界の厳しさを肌に感じないではいられませんでした。