2024年11月21日木曜日

試乗記です。4代目BMW135iに乗ってみました。

 このタイトルで記載するのは2度目で、前回は2016年の2月でした。今は日本導入の無くなっちゃったアウディS1に、札幌で試乗した時の事でした。

今回はBMW135i。2024年10月に、モデルチェンジされた新型が日本にも上陸して、お世話になっている旭川BMWさんから、新しい営業担当の方のご挨拶と135iに試乗できる旨の案内が来たのです。

私自身のための備忘録的な意味合いの多いこのweblogですので、記憶が混濁しないうちに(と言ってもちょっと調べればわかるんだけど)、大雑把な変遷をメモします。

・BMWの1シリーズ日本導入は2004年9月頃。

・トップグレードの130iを2005年10月にリリース。

・独BMWは2011年6月に新型1シリーズ(2代目)を発表。

・1年遅れの2012年8月、新型M135iを発表。3Lエンジンはターボ化。

  ※この135iの2014年型が、今の私の愛車。

・2019年5月末、ドイツBMWは新型(3代目)BMW1シリーズ発表。

  ※ついにミニとプラットフォームを共有して、FF化!

  ※発表時に135iもラインナップ。エンジンは2Lターボ&4駆。

・2024年6月、独BMWは新型(4代目)BMW1シリーズをリリース。

・2024年10月、BMWジャパンが翌11月に4代目1シリーズを導入と発表。

とまぁ、こんなところがアバウトな流れ。

で、今回気になるのは

2004年発表した初代1型⇒2011年に2代目へ(7年)。

2011年の2代目⇒2019年にFF化して3代目(8年)。

2019年の3代目⇒2024年に4代目(5年)。

となるわけで、4代目の登場がちょっと早くないか・・・、と。マイナーチェンジに留まらず、いっきに4代目導入が気になったので試乗にも行きたくなっちゃった。

さて、さらに僕個人に視点を移すと、初代130iも2代目135iも乗って来た(今も乗っている)身として、やはり北国北海道でFR車は少し辛い。2代目に乗り換えた時、雪道のスタビリティーが大幅に向上していたので、めちゃ嬉しかったのだが、それでもスタックする時もある。さらには前輪だけ凍り付いて、前輪ロックしたまま発進しちゃうこともある(こうなると、もう大変!)。そんなFRのBMWのオーナーにとって4駆を与えられた3代目は非常に魅力的なことでした。

で、どうして4代目の登場が早かったのだろう、という答えは、試乗で感じた範囲だけど

1.インパネ見て、大幅なデジタル化に唖然とした。

2.3代目のボディデザインが、ちょっと野暮ったかったのかな?

  ※4代目は大幅変化でもないけど、とてもクールでカッコいいのだ。

3.FFの乗り味を、早々に洗練させたかった。

  ※3代目乗っていないけど、ちょっとじゃじゃ馬っぽかったらしい。

と、そんな風に見受けられた。そしてたぶんBMWのお家事情やライバル各社の動向などがさらに大きな要因だったと想像するも、そこは想像の域を出ませんよね。


さて、試乗記と銘打つからには、その印象を書き留めておかなくちゃ。まず1点目のデジタル化については、インパネが大きな一体画面になり、ほとんどの操作は僅かなタッチでなされる。ワイパーやヘッドライトの操作こそ従来に準じたメカニカルなものだけれども、室内の温度調整や音楽の音量&ラジオのオンオフなど、すべてスマホ的な操作でコントロールできる(ま、私のような老人には、慣れを要するけどネ)。

でもって、オートマのミッションまでデジタルライクなのだ。もう、ミッションを操作している、という感覚じゃなくて、ボタンでDとかRとかに入れる感じ。たぶん・・・容易に誤操作しそう。クラッチ踏む儀式の向こうに、ミッションを操作するんだという実感は、皆無。

思いのほか静かで、やれセンターライン踏んだとか、もうすぐ踏切だとか騒がないのはありがたかった。高級車に乗るとある、斜め後方から迫るクルマの警告が、さりげなくサイドミラーに注意喚起の点滅があるのがありがたかった。

わずかな時間の試乗なので戸惑っているうちに終わっちゃったけど、何とか運転するのに困るほどではなかったと思う。慣れたら便利なんだろうね。


次に乗り心地。これ、すごく良かった。固すぎずヤワ過ぎず、いい塩梅。エンジンのリニア感も文句なし。2代目の3Lターボに比べると、ちょっと神経質かもしれないけど、充分なパワーもトルクもある(車重ほぼ一緒だから、比べ安い)。アイドリングも思いのほか静か。ただし4本出しのマフラーは、過剰演出だと思う。

3代目の乗り心地が、少しせわしないと噂だったので、そこを早々に改善したかったのかもしれないなぁと勝手に想像してみる。FFのグレードには乗る機会が無かったので何とも言えないけど、FFベースの4駆については素晴らしい乗り心地だった。

唯一気になったのは、ステアリングのレスポンスがややスローだった点。これも想像だけど先代の乗り味が、神経質だとか大人気ないとか、そういう評価だったので、思い切って大人びた印象に持って行ったのかもしれない。エンジンとシャシのバランスから見ると、およそのんびりしたハンドリングで、やる気満々の革巻きのハンドルが浮いていた。

加えて、後席がものすごく広くなった。3代目は未知だけど、初代&2代目と比べたら1ランク別の広さがある。きっとセンターデフの要らないFF車は、さらに広さを実感できそう。また、ハッチゲートの開閉もボタン一つで出来るようになり、両手に荷物もって開け閉めする際には超便利になった。

もう1つ、4代目で良かったなぁと感じたのは、サイズをほとんど大きくしなかったこと。もともとBMWのエントリーモデルであるのと同時に、コンパクトなサイズが売りの1つでした。モデルチェンジを重ねるごとにサイズアップするのがクルマのお決まりのパターンにあって、サイズをキープできたことはホントに素晴らしいと思う。

2代目135i:4340・1765・1430(全長・全幅・全高)に対して

4代目135i:4361・1800・1459(〃)だから、ほとんど大きくなっていない。取り回しに便利なサイズを維持できた点は、大いに評価したい!


さて、いいことずくめの4代目。カッコいいしね。なので、ここは思い切って買い換えますか・・・、なぁーんて展開したいところだけど、そうはならない。何しろ4代目の135iは端から700万円なのだ。2013年当時、2.7Lのポルシェボクスターは600万円だったことを思うと(って、さすがに昔話だけど)、おいそれと手の届くクルマではなくなっちゃった。

BMW旭川さん、試乗に当たってセールスさんが同乗するものと思いきや、どうぞご自由にと!そのまま乗って帰ろうかなと思ったけど、私の2代目(10歳)が人質になっていたのでした。


前回2016年に記した試乗記の時とクルマ選びに関する大まかな視点は変わらない僕にとって、今回の4代目135iはとても刺さるクルマだったけど、プライスだけは絶対に越えられない壁になっちゃった。

その点では、いま日本をけん引する唯一の(と言ってもいいよね)トヨタ、GRヤリスに目が移る。ヤリスもプライスは生半可なものではないにしても、数百万円は低い。もちろん洗練とかオシャレとかは微塵も期待できないかもしれないけど、そこはあまり気にならない私。6速マニュアルだし、2ドアハッチバックと言う不便さを我慢できれば、ヤリス、いいかもしれません。


追記:画像はwebCGさんからお借りしています。


2024年1月27日土曜日

国産ウィスキーが・・・高い!

 もう1か月ちょっと前のこと、久しぶりに映画を見に行った。アニメーション物で「駒田蒸留所へようこそ」という作品だ。ストーリーは震災を乗り越えて、オリジナルのモルトウィスキーづくりに情熱を傾けるオーナー家の末裔(長女)を主人公にした、ビジネス・サクセス・ストーリーだ。

作品は比較的淡々と語られ、うまく起承転結の展開に乗せてあって見やすかった。でも、ややあっさりとした内容で、強く感情を揺さぶるようなところもなかった点が、ちょっと物足りなくもあった。

さて、こういう映画を見ると、往々にしてそのストーリーの核となるものに自分も触れたくなることがある。今回のそれは、紛れもなく”ウィスキー”だ。普段はお酒を飲むと言えばほぼ100%ワインだし、ごくたまに新鮮な魚介が手に入ると日本酒を開けることがあるくらいなのだが、やはりウィスキーを飲みたくなるから映画の力は大きい♬


ウチのお酒の置き場を探し回ると、バランタイン(ファイネスト(一番ベーシックな奴))と、もうずっと昔に出かけたサントリーの蒸留所で買った白州東蒸留所8年の2種類が残っていた。白秋はもう100mlくらいしか残っていない・・・。

タンブラーっぽいグラスもどうにか見つけてきて、オンザロックで2種類を飲んでみる。どちらも芳醇でとてもおいしい!ウィスキーって、こんなに美味しいんだ・・・なんて、相当映画に毒されてる分を差し引いても、たまにはウィスキーもいいな、と感じた。特に白州の複雑な味わいは、とても美味しい。

翌日町内の酒屋さんに行って、いつもは見ない”ウィスキー”のコーナーを物色した。ここ2~3年(もっとかな?)国産(サントリーやニッカ)のウィスキーが高騰していることは何となく知っていたが、実際にプライスタグを見て驚いた。でもって、サントリーの看板商品「山崎」や「白州」は展示なし。聞けば”値段はいくらでもいいからって言っても、入手できないんですよ”と・・・。ぐるっと見回して、ニッカの「余市」を購入することに。6千円でわずかにお釣りがくる価格設定は、相場的には良心的だが、ニッカの希望小売価格は4千5百円だ・・・。一方、かって高嶺の花だったスコッチウィスキーは、信じられないくらいに廉価になっていた。ウチにあったバランタインファイネストは1,500円もしないし、学生時代に憧れだったジョニーウォーカーの黒ラベルでさえ3,000円で手に入る。ニッカの余市が倍の価格だと思うと逡巡してしまうが、映画を見た影響で国産のモルトウィスキーに魅かれた・・・。



その2週間後くらいに、隣町(上富良野町)の大型スーパーでサントリーのグレインウィスキー「知多」を見つけて、これまた買ってしまう(映画の影響は実に大きい)。3,980円(税別)の売価は、サントリーの希望小売価格(4千円)とほぼ同じ。国産ウィスキー入手困難な中で、けっこう良心的な値段だ。

ところで、いったいどうしてこんなに国産ウィスキーが品薄&高騰しているんだろう?サントリーのシングルモルト”山崎”は、ノンヴィンテージ物でさえ、希望小売価格の3倍を超えるプライスタグが、ネット通販でも普通にぶら下がっている。こういう疑問も、ネット全盛の今は情報入手が可能だ。興味本位で調べてみると、面白いことがわかる。
きっかけは2010年ごろにサントリーが仕掛けた販売戦略、”ハイボール”が当たったこと。これで国産(特にサントリー)ウィスキーの消費がアップ。さらに2014年9月から半年間放映されたNHKの朝ドラ”マッサン(ニッカウィスキーの創業者、竹鶴政孝がモデル)”の人気でさらにウィスキー消費が増えたこと。加えて、このころ相次いでサントリーやニッカのウィスキーが海外で賞を授与され、海外でも日本のウィスキーの需要が高まったこと等が原因だ。ちなみにウィスキーは製造から商品化まで10年近い(ものによっては15年、20年・・・)時間がかかり、需要と供給のバランスをとることが難しい。 

 
美瑛に移住する前、会社勤めしていた僕の仕事は商品の生産管理だった。ちょっと小難しい響きがしないでもないが、要は需要に合わせて商品供給するために(作りすぎず、足りなくもない範囲で)、生産計画を練るポジションだ。おおむね半年先の需要を見通しながら、購買部門にパーツの入手などの情報提供をし、詳細のスケジュールは2か月前に確定させて行く(もちろんその後も微調整は入る)。なのでいつも頭の中は2~3か月先読みしていてせわしない。真夏に晩秋のことを思いながら計画を組む作業は、ちょっと気ぜわしいし世間とはズレた感覚だ。まぁデパートのショウウィンドウを見れば、同じような時間感覚で飾られていて、思わず笑ってしまったけれども・・・。で、ウィスキーに話を戻すと、こちらは10年先の需要を見込まないといけない。マッサンの大ブレークを想定して生産計画を組むことは事実上不可能だし、裏を返せば当たらなくても仕方がないとも言える。そう思うと、きっと今は増産に転じているはずだから、今の供給不足と高騰は、2030年ごろには解消すると予想してみる。
国産ウィスキーの人気の原因の一つに、国産の樽も影響している。海外ではホワイトオークが主流の樽だが、日本ではミズナラがほとんど。このミズナラの樽で醸すウィスキーが、芳醇で複雑な味わいになると言うのだ。確かにバランタインよりも白州のほうがより複雑な余韻で美味しかった(気のせいか・・・?)。ここ北海道では、ウィスキーと言えばニッカになるわけだが、僕自身のソウルウィスキーは、白州だ。早く白州が希望小売価格くらいで手に入る日が来るといいんだけどな。あ、そういえば、定価4,500円の”山崎”も”白州”も、この4月から7,500円に値上げらしい。もっとも実売価格ははるかその上を行っているので、当面入手価格は変わらないとは思うけどね。