2026年、遅ればせながらあけましておめでとうございます。
本年もよろしくお付き合いくださいますようお願いします。
美瑛に移住して、もうすぐ丸19年になる。○○周年と言いうようなイベントにはおよそ興味のない僕だけれども、ふと”もうすぐ20年なんだな”、と思った。
そんな折2025年末、消防署からの郵便で「出初め式に出るように」とのお達しがあった。もちろん強制ではないから行かなくてもいいと言えばいいのだけれども、小さな町の地域活動を担う立場でもあり、地元の安心に大きく貢献してくれている消防団の出初め式には行こうと決めた。往復はがきの「出席」を丸く囲みながら、その下に”ドレスコードはありますか?”と書いてみたところ、直前になって電話回答があり「できればスーツで」とのことだ。
スーツかぁ・・・とあれこれ考えを巡らせてみる。もちろんそう指定されることは、一応は予想していた。がしかし、こうして決定的な連絡をいただくと、聞かなければ良かったかもしれない、と思わないでもない。出初め式は2部あって、1部は消防団ごとの行進を見送る事。真冬の美瑛町の寒風吹きすさぶ役場前で、およそ20分間の分団ごとの行進を見守ることになる。2部は町民センターにおいて、諸々の(多くは永年勤続等の)表彰式に参列すること。スーツと何が関係あるんだ?と思うかもしれないが、特に1部の行進見送りは、はっきり言ってスーツでは辛い。もちろんその上のコート着用等は自由だと思われるが(着なくちゃ無理だし)、襟のあたりのネクタイが見える程度の露出はするのだろうなぁ。
それからもうひとつ、スーツを着用することそのものがひっかかる。かって19年前までビジネスマンとして日々生きていた自分は、毎日のようにネクタイをし、月に数度の出張時には作業着からスーツに着替えて商談等を普通にこなしていた。そう、19年前までは。なのでこの19年ほどスーツを着たことは1度しかない(スタッフの結婚式臨席に際し)。着ることに特段難しい何かがあるわけではないけれども、問題は2点、そのスーツは今着ても問題ないのか(汚れていたり、型がどう見ても時代おくれだったり)、そして私の今の体形は、そのスーツに収まるのか・・・?
2点についてさっそく検証したところ、型落ちと汚れの心配はなさそうだった。たぶん会社を辞す1年前に、初めてオーダーで作ったスーツがあり、まさに定番と言うデザインだったことが幸いした。体形の問題はないとは言えないものの、どうにかごまかせないほどでもない許容範囲だった。20年前と比較して著しい体重増加とかはないと思うのだが、体のラインは残酷なまでに変形し、ウェストがちょうどいい感じでフィットしてくれるはずもなかった。でもぎりぎり履けないことはなかったので2時間弱は我慢することにしよう。ついでながらやはり超久しぶりに身に着けるネクタイも、何とか結べた。
いざ当日(1月9日)、スーツに身を包み姿見の前に立って自分を眺めてみる。まぁ何とかカタチにはなったなと思うと同時に、19年前までの自分のことが急に脳裏にあふれて来た。毎朝ネクタイを選び、結んだ。職場での僕は、当然のことながら会社組織のひとりとして、会社のルールに良くも悪くも縛られていた。形式的で非生産的な会議もあれば、目を見張るような大きなプロジェクトのメンバーにもなった。
それはある面とても不自由で、同時に大きな繭の中にいるような安心感もあった。加えて繭の中では競争や駆け引きも茶飯事だった。今はどうだろう・・・?形式的な会議をやる必要は全然ないし、個人経営だから同僚との駆け引きも上司への気配りも全くする必要は無い。部下を育てる面倒もないし、別部門からの苦情に対応する必要もない。けれども僕を包んでくれていた繭も同時に無くなってしまった。僕は自分の意志でそこから出てしまった。明らかに無意味なあれこれからは解放されたけれども、僕自身のちょっとしたミスや気のゆるみが、個人経営そのものを揺るがす可能性といつも同居することになった。繭の中で暮らしていたころの自由への渇望が満たされると同時に、一寸先は闇の世界に足を踏み入れてしまった。
繭から出て、19年が過ぎたんだ・・・と改めて思った。出てみて初めて見る世界があって、両方の経験ができたことは自分にとってとても貴重なことだと感じる。向き不向きはもちろんあるし、僕の自己評価としては、僕は会社向きのタイプのような気がする。それは今の暮らしが嫌だとか辛いとかでは全くなくて、今の暮らしをそう、存分に楽しめていると思う。説明するまでもなく大成功を収めたわけではないけれども、まぁ19年個人経営やって、何とか続いているんだから結果オーライじゃないかな・・・。
それにしても、出初め式は寒かった。幸い風のないそして雪も降っていない曇り空での行進だったものの、普段着ている防寒着にスーツとコートは遠く及ばなかった(笑)!行進している消防団の面々に至っては、ワイシャツの上に支給されたジャンパー姿で、さらに厳しい寒さに晒されていた。消防団の方々におかれては、貴重な年中行事だったことと思うけれども表彰式だけでいいんじゃない・・・?とつい思ってしまったことは秘密だ。