11月も中旬です。北海道美瑛町の秋は早く、9月下旬には大雪山系の最高峰(旭岳)には初雪が降る。この頃になると繁忙期の喧騒もひと段落。当館にいらっしゃるお客様も、美瑛に旅行で訪れる方たちも少しずつ減って11月の声とともに、1年でももっとも閑散とした時期に突入です。

なんだか美瑛の景観を表現すると、いつも似たような感じになってしまう。もう少し気のきいた説明は出来ないものかと思うけれども、「雄大で、綺麗で」以外になかなかこの光景を言い表す言葉を探し出せない(なんと語彙の少ない)。

あらためて晩秋の丘を見渡すと、秋色と言ってもいいオレンジや黄色のベース色に、秋まき小麦と牧草の緑が美しい。でもって早朝であれば霜が降り、寒い日には雨が雪へと替わるので、白い色が部分的に混じる。この色合いが、何度も繰り返しになってしまうけれども実に美しいのだ。夏、ルピナスに始まってラベンダーやひまわりが丘を彩る季節は、それはとても綺麗だと思うけれども、晩秋の美しさはもうちょっと雰囲気が違う。美しさに物語がある。枯れて土に帰る色合いと、冬を越えて春に勢いを増す緑と、厳しい冬を予感させる白い色が、丘の風景に深みを与えている。
誰もいない、丘。あまりにも美しくて、もちろんそれはすぐに来る真っ白い季節の前の刹那的なもの。僕ひとりで眺めているのは、もったいない。
あー、また今年もこの季節に会えたね・・・。晩秋の、心をときめかせるほど美しい丘風景を眺めながら、そう思う。そう言えば庭のカタクリの花が咲いた時も、最初のアスパラガスを食べた時もおんなじことを口ずさんだ気がする。美瑛にたくさんある「また会えたね」を、今また満喫しています。
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