NHKに、“世界は欲しいモノにあふれてる”という人気番組(だと思うんだけど)がある。時折時間が許す範囲で見るけれども、世界中の「何かいいもの」を探訪するその番組は、見ていて楽しいなぁと思う
と同時に、欲しいモノを手に入れる喜びは、さらには作る喜びに発展していく運命にあるなぁと、勝手に思い込んでいる。例えば詳しく知らなくて墓穴を掘りそうだけれども、ロレックスの限定版の腕時計を手に入れることができたら(買うことができたら)ハッピーだけれども、それを作る、あるいは製造する1工程に関わることができるとしたら、さらに嬉しいに違いないんじゃないのかな、と考える。
ロレックスの時計はあまりに無縁なので、もっと手近な例としては美味しいものとか、お気に入りのバッグとか服とか・・・。どこそこの○○はめっちゃ美味しいから、それを手に入れたいし、食べたい。予約でいっぱいでなかなか手に入らないけど、運良く手に入れたら、そしてそれを食べることができたら、嬉しいに違いない。さらに、もし可能であれば、自分自身で作ることができたら、さらに喜びは増すんじゃないだろうか・・・?
まるで屁理屈のようなこんなことを書いているのは、僕自身の経験からなのです。先日2度目の訪問で、お隣の上富良野町の多田ワイナリーさんへ行き、“シャルドネ2019”を購入して飲んでみた。すると期待をはるかに上回る美味しさで、驚きを禁じ得なかった。
多田ワイナリーは、シャルドネやピノノワールを扱うワイナリーとしては最北端(2021年末現在)。美瑛から少し北の東川町や、さらに北の名寄市にもワイナリー(森臥)がありますが、シャルドネ等の品種は扱っていない。お偉い方が「温暖化で北海道のコメが美味しくなった」と言ったとか言わないとかですが、さすがにこれらの葡萄品種は、上富良野町が現時点では北限のよう・・・。その北限のワイナリーが醸すシャルドネの味や如何に・・・って、ちょっと気負って栓を抜いたわけですが、美しい艶のある黄色のワインは、芳醇な味わいにあふれていました。すごい!
あれ、全然僕自身の経験にたどり着かないんですが、そのことを少し・・・。2018年、自分自身でワインを醸造できないだろうかとの積年の思い止まず、懇意にしている友人と共に、思い切って大好きな三笠市の滝澤ワイナリーのオーナーにお会いしました。事情を話すと包容力のある温和な表情で「ウチで修行のお手伝いをしましょう」となった。要はワイナリーでワイン醸造のお手伝いをしながら、そのノウハウを学んでいきなさいな、というお許しをいただいた。実際にワイナリーで作業をさせていただいたことについては語ると果て無いので止めておきますが、とにかく「自分で作る」という喜びを得るために、とても無謀なことをやったものだと思う・・・。
でも、まぁ、自分で葡萄を育てて、実を収穫して、ワイナリーに持ち込んで工賃をお支払いすればワインにしていただけるのですから(でもってワインを醸造する作業にも関わることができますから)、とんでもなくハードルが高いわけじゃない(と思う)。
このことは、ずっと心の端っこに引っかかっていて、美味しいワインを探す(または見つける)、飲む、という行為のその先に、美味しいワインを“作る”、飲む方が相当幸福度は上なんじゃないかと思えて仕方がない。まぁ、無いものねだりと言うか、隣の芝生は・・・かもしれないけれども、究極の幸福って、実は自分自身で生み出せることなんじゃないかと思えて仕方がない。
さらには、そうやって自分が作ったものが、多くの人からも歓迎の意とともに受け入れられたら、それはもう大満足間違いなしだ(きっと)。
残念ながらコロナ禍の厳しい経営状況で、自社ワイナリーの夢はいったんは霧消してしまったけれども、いずれまた、必ずやトライしてみたい。そう思わせる強いインパクトが、多田ワイナリーのワインにはありました。美味しかった、ホントに!
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