去る4月1日、美瑛でほぼ同期に宿屋を開業したE君のお誘いで、彼がこの6月にもオープンするカフェの、開業前のリハーサルにお邪魔してきた。なんでもリハーサルだから、友人・知人も誘って来てくれという。飲食代は不要というので(さすがE君!)、スタッフ中心のメンバーで押し掛けた。
まだ開業前のカフェは何もかもが新しいわけだけれども、「カントリー」を基調にしたそのお店は、真新しいながらも人の居心地を良くさせるための、まさにカントリー的なしつらえが素晴らしかった。さすが彼のセンスはいいなぁと感心した。
それでもまだ実際に始まっていないカフェに行けば(ランチタイムに、ざっと50人ほどは客(テストのための)がいたと思う)、あれこれ感じることがある。接客のやり方や、メニューの展開といったアプローチの部分と、トイレがどうだとかテーブルのレイアウトがこうだとかいうカタチの部分の大きくは2つに大別された課題があれこれと思い浮かぶ。
それにしても人様のやることというのは、いいこともそうだけど今一つなところも実によく気が付くものだ。ちょっと流れている音楽がなぁ・・・とか、自分のやっている宿のことは棚上げで、思いつくことは多い。E君からの希望で「ぜひ、気の付いたことを列挙してくれ」というので100行ほどのメモを翌日渡した。
それにしても、宿屋をやりながらカフェも切り盛りするなんて、本当にE君は経営のセンスも実力もあるもんだと感心する。開業ということで、経済企画庁の中小企業白書という資料を見たら、開業のしやすさ・廃業になりやすさを表したグラフ(イメージ図にもなっている)があった。それを見ると宿泊と飲食はカテゴリーの中ではもっとも開業しやすくて(表からはおおむね9.6%くらいに見える)、同時に最も廃業に至りやすい(同じく6.5%くらい)業種ということになる。
ちょっとここに割り込みたいと思って持論を勝手に記してみるけれども、宿泊と飲食を一緒にするのは、無理があると思う。飲食と宿泊業には少し決定的な違いがあって、何と言っても初期投資の大きさが桁違い(1桁だけど)だ。最近は民泊もあるからその差は縮まっているかもしれないが、普通に宿屋をやろうと思えば(朝晩の食事も供する)、お部屋、お風呂、寝具・家具(ベッドだったりソファーだったり)といった建物&客室(と、その調度品)が必要になるので、ここへの設備投資は数千万円(たぶん億に近い)にはならざるを得ない。飲食店となればもしかすると自宅の一部(多くかな?)を改装して、1千万円に満たない額(場合によったら数百万円)で、オープンできる場合もある。
だから、カフェには競合がいっぱいいるし、ちょっと流行ればマネもされる。カフェで10年間ずっと人気店なんて、なかなかできないことだと思う(ごくたまにはあるけれども)。ところが宿屋さん(僕ら程度のこじんまりした5室前後の客室の)は、平気で10年くらい人気の宿はある。E君の宿は、まさにそう。でもって簡単にはマネされない(できない)。
ということでさっきのグラフに戻れば、カフェはさらに開業しやすく、廃業してしまう可能性も高いだろうと思われるし、宿は開業のハードルはもっと高い代わりに、はじめればカフェほどライバル多い世界に晒されることはないから、もうちょっと廃業の率も低いと思う。
で、この私のブログなんかを読んでくださっている方の中には、ご自身もいつかは北海道で(あるいは海外かも?)カフェをしてみたい、とか、小さな宿屋さんをやってみたい、とお考えの方もいるやもしれません。そんな読者の方に、カフェと宿屋のそれぞれの特徴を知っておいていただけるといいなと思いました。
もう少し続けると、カフェ(飲食店)ではお客様一人当たりの売り上げは、1,000円前後から高級店となれば5,000円くらいまで(いやもっとかな)になります(そもそも、いきなり1食5,000円取れるお店を出すのはかなり難しい)が、宿屋ではもっと高いですよね。しかもお一人でいらっしゃるケースは少ない。
さらにはカフェや飲食店では予約でいらっしゃるお客様は少ない(中には予約だけ、というお店もごくごくわずかありますが)。一方宿屋はほぼ全数が予約です。これは一長一短で、予約が先々まで埋まっちゃって身動き取れなくなることもあるけれども(休もうかな、なんて気楽にできない)、予約で動くからいろんなことは計画が立てられる側面もある。
とまぁ切りなくあるわけですが(もっとお知りになりたい方には、いくらでもお話しします)、かってのように就職したら定年まで、が容易ではなくなったいま、ご自身で何らかの起業を考えている方もいらっしゃると思う。4月、新しい年度に皆さんはどんなことを胸に臨みますか?すべての人に、希望溢れる新年度だといいですね。僕ですか、はい、持ちきれないほどの希望を、欲張っていますよ♪
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