季節感が薄れてきて久しい。厳しい夏がいつまでも続き、なかなか秋の爽やかな風が吹かない。でもって台風に悩まされる機会も増え、秋という季節を実感し満喫できる日々がなんだかとても短くなってしまったように思う。
ただし、北海道ではそうでもなくて、今年も秋はしっかり堪能できた。美瑛もしかり。9月下旬の大雪山山系の初雪情報に始まって、だんだん紅葉が山から丘へ降りてきて、落葉松が黄金色に染まるまで2か月近く、秋を楽しむ時間があった。例年通り丘(畑)の豊穣に恵まれて、美味しい野菜たちがテーブルに並ぶのは、本当に嬉しい限りだ。
そんな美瑛の秋も、ある瞬間を境にはっきりと冬へとチャンネルが変わる。初雪と共に秋は終わり、冬がやってくる。雪に覆われた大地には、良くも悪くも秋の余韻はない。40年以上も愛知県で暮らした自分にとって、この初雪即ち冬の到来という劇的な変化は、あわただしくもあるけれども、心がちょっぴりわくわくもする。
10年か15年に1度、あるかわからないけれども、本州でもホワイトクリスマスなる日が、まれに訪れる可能性がある。天気予報でそんな情報が流れても、実際には雪が少し舞う程度で、一面の銀世界になるようなことは40年以上も暮らしたけれども1度もなかったと思う(し、あったらご存知の通り、交通機関は麻痺してしまう)。でも、北海道では多くの地域で真っ白のクリスマスだ。雪がない・・・ということは、温暖化が危惧される昨今においても、ない(たぶん、僕が生きているうちはないともうな。もしあったら農業的には壊滅状態だけど)。とにかく11月に入った頃から雪は降り始めて、11月末か12月早々には根雪になる。
初雪の便りをこうして発信すると(今では多くの人がSNSを使って美瑛の今を発信していますね)、寒さを心配するメッセージを少なからずお受けする。中には北海道を人が住むところではないような場所とお思いの方もいらっしゃる。
自分だって12年前の今頃、果たして無事に初めての冬を乗り越えられるのかどうか不安で仕方がなかった・・・。雪でクルマの運転もままならないし、氷点下10度をはるかに超える(マイナス25℃を下回る日だって10日以上ある)日々の暮らしが、想像すらできなかった。
2007年11月から2008年の3月いっぱい、それは思いのほか快適に過ぎ去った初めての美瑛の冬の生活だった。まず家中を暖かくするから、室内で寒さに凍える心配は全くなかった。さらには氷点下15℃くらいを境に、そこからどれだけ気温が下がっても、体感的にはあまり差が感じられないこと(プラスの方は皆さんご承知の通り25℃と30℃じゃ大違いですし、ましてや30℃と35℃じゃ天と地ほども違いますよね)。そしてなぜか晴れた日はマイナス5℃でも10℃でも外歩いているときに暖かく感じること(愛知県のマイナス2℃の方が絶対寒く感じる!)。でもって、雪に被われた美瑛の丘風景があまりにも綺麗なこと!
大雪に交通マヒすることもあんまりないし、スーパーでは普通に商品が陳列されるし(果物や緑の野菜は、遠路運ばれてくるので少々お高め)、年賀状もばっちり元旦に配達される。
逆に困ったことは何だろう・・・、あ、やっぱりクルマの運転だな。何度かぶつかったりスピンしたり、こすったりしましたよ。でも幸い致命的な事故は起こさなくて済んだし、今はかなり雪道運転にも慣れてきました(雪の降り始めの頃と、春の溶け始めの頃が危ない)。あとは、外出時の準備かなぁ。帽子、マフラー、手袋は絶対必要。防寒具いっぱい身に着けていくから、少々面倒ですし帰って来る時忘れていないか心配(まず、気づきますよ。ないと困るものだから)。
普通の靴をしまい、ブーツや長靴を出すとき。自転車をしまい、除雪用具を用意するとき、
そんなあれこれと一緒に、今年もまた冬の到来をお迎えしています。美瑛の冬、好きだな!
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