2023年2月18日土曜日

ホフマン・ジャイエ、ジルの愛したコート・ドール。

 美味しい道産ワインが増えていると思う。特に白ワインにおいては、かなりのレベルに達して来ていると感じる。味わい、香り、うまみ・・・そういったあれこれが、いわゆるテロワールらしさと共に、うまくワインに結実して来ている。

だから、シンプルに美味しい。道産食材との相性ももちろん、素晴らしいフィット感を味わえる。シャープな酸や深いコクがあるわけではないけれども、綺麗で上品な酸や、香り高い葡萄の味わいが、何とも言えない。野菜やほのかに甘みを宿したホタテの稚貝との相性が素晴らしい。

 


道産ワインのレベル向上は目を見張るものがあるものの、赤ワインにおいてはまだまだ発展途上と言わざるを得ません。と言うのも、北海道では日照時間が決定的に足りない。赤ワインの原料となる黒葡萄(ピノノワールとかメルローとか)がしっかり熟すのに、必要な日の光が十分ではない・・・。それでもここ数年(良いこととばかりは言えないけれども)、北海道の夏も結構暑い。黒葡萄が熟すのには、少なからず貢献しているように思う。その影響もあってか、時折楽しむ滝澤ワイナリーや多田ワイナリーのピノノワールは、間違いなくレベルアップしている♬

 


と書いておきながら、ブルゴーニュワインのお話をしたいと思います。今日飲んだワインは、ホフマン・ジャイエのオート・コート・ド・ニュイの赤ワイン。ブルゴーニュの神様、アンリ・ジャイエの遠戚(お父さんのロベール・ジャイエが、アンリの従兄弟)にあたるジャイエ・ジルのワイナリーで、世代交代に当たり(跡継ぎのないジャイエ・ジルは)、ブルゴーニュへの情熱溢れるスイス人アンドレ・ホフマンへとワイナリーを託すことになります。

もともとジルの醸すワインは、しっかりと葡萄を熟成させたうえでやや凝縮感のあるワインとなっている。4~5万円もするエシェゾーに手を出すわけにはいかないけれども、このオート・コート・ド・ニュイも、たっぷりとしたうまみを内包していて、力強い酸とコクが口の中でどこまでも広がる味わいは、ブルゴーニュの赤ワインの真骨頂と言っていいだろう。シャルロパン・パリゾやロシニョール・トラペなんかも近い味わいだったように記憶する。

2018年1月、ジャイエ・ジルは他界(66歳の若さ)。ワインメーカーをホフマンと若きブルゴーニュ人アレクサンドルヴェルネへとバトンを渡しました。

 


ワインはとても深いコクと共に、まかないのイワシのオーヴン焼きに絶妙なバランス。飲んでいて、とてもハッピーな気分に包まれるのです。そして、ジャイエ・ジルが、ホフマンとヴェルネに託した愛すべき、コート・ドールの黄金の丘。ワインを飲むとそのワインにつながるいろいろな物語が脳裏を駆け巡ります。美味しい・・・と思うと同時に、ジャイエ・ジルの愛したワイン畑が、見たこともない僕の頭の片隅に、像を結ぶのです。