2020年3月8日日曜日

ダイヤモンド・ダスト


確かユーミン(松任谷由実)の曲に、「ダイヤモンド・ダストが消えぬ間に」という1曲があったと思う。でも、こちらのダイヤモンド・ダストは、なぜかダイビング中の水中の気泡だったり、シャンパンの泡だったと記憶する。本当のダイヤモンド・ダストは、空気の泡じゃなくて、氷の結晶だ。気温が氷点下15℃よりも下がると、空気中の水蒸気が氷として析出して、小さな粒が光輝いて見えるさまだ。
いくつか気象条件が重ならないと見えないので、ここ美瑛にいても冬の間は毎日のように見えるわけでもない。だいたい厳冬期の2か月間くらいは、週に2~3回くらい見ることができる。さらに好条件が重なると、ものすごい量のダストが舞い、それはそれは美しい♬大雑把だけれども、週に1回か、10日に1回くらいそんな日に巡り合う。

2015年の2月にもダイヤモンド・ダストのことは書いたので、この現象の現れる気象条件などについては省略する。また、美しいダイヤモンド・ダストが見える場所と言うのも限られる。水蒸気が多く含まれそうな川面、つまり橋の上からはたいてい見ることができるし、落差があった方が(見下ろせる場所)いいと思う。
今回も2015年と同じ場所に陣取ってみたが、この5年間でさらに人気のスポットになっていて、2月9日に出かけたときはクルマは100台以上、撮影している人はもっといたようだ。嬉しかったのは、皆さんマナーがよくて、駐車場のないその場所でも、片側にきちんと車を停めて、またドローンを持ち込むこともなく写真撮影に勤しんでいた。とは言っても生活道路として通勤などに使う人にとっては邪魔以外の何物でもなさそうではある。気温マイナス30℃(29.8℃)まで下がる厳しい朝だったけれども、ダイヤモンド・ダストはほんの少ししか見えなかった。
家を出るころ、夜明け前5時半。 
日付変わって2月29日。ちまたはコロナウィルス感染予防の観点から、不要不急の外出は避けましょうとなって間もない。本当はのこのこと写真撮りに行くのも憚られる時節柄・・・とは思ったけれども、お客様もいらっしゃらない家の中で(本当に、宿泊されるお客様は激減しました!)、ちんまりと過ごしているだけでは詰まらない・・・。せっかく晴れた日の朝なので、思い切って出かけることにした。
冬至の頃、日の出は午前7時を過ぎるくらいだったけれども、もう1時間以上も早くなっている。我が家からダイヤモンド・ダストが盛大に見える場所までは、およそ15分。5時過ぎには準備を始めて、5時半には家を出たい。家を出ると、まだ群青色の空に、わずかに陽の光の赤い色が滲んで、なんとも空のグラデーションが美しい。気温マイナス23℃、たぶんこの冬のラスト・チャンスだ。

見え始めたダイヤモンド・ダスト(肉眼) 
果たして現地に到着すると、クルマ6台(最終的には15台くらいでした)。先回来た時の10分の1程度しか人だかりは無い。ほどなく日が昇り、無風で好条件が重なったこの日は美しいダイヤモンド・ダストに出会うことができた。おまけに人の出はまばらで、神聖なとまでは言わないけれども不思議な自然現象に、静かに感動することさえ出来た。きっと2000年頃は、この場所はこんな感じだったと思う。広い場所にせいぜい10人くらいの好事家が(物好きが)集まって、珍しいダイヤモンド・ダストを見ていたんじゃないだろうか。今やそんな贅沢は夢のまた夢。NHKはじめテレビ関係の報道陣さえ集まるこの場所は、冬の日の早朝には人混みで身動きさえ不自由なくらいだ。
盛大に舞っています1  
今回はコロナウィルスの蔓延防止+2月9日よりも条件悪い予報(気温の予報はマイナス18℃止まり)だったこともあって、がら隙きの状態で乱舞するダイヤモンド・ダストを拝むことができた。日の出直後の太陽光はオレンヂ色で、ダイヤモンド・ダストもオレンヂの色に染まる。日が高くなると太陽が真っ白になって、ダストもダイヤモンドのように純白に。僕はどちらかと言うとトルコ石みたいな色をした、日の出直後のダイヤモンド・ダストが好きだな。
 
盛大に舞っています2 
振出しに戻って、ユーミンの曲。ダイヤモンド・ダストを泡になぞらえて、はかなくすぐに消えてしまうもの、という表現はとても的を射ていると思う。今度はぜひ、ホンモノのダイヤモンド・ダストを題材に曲を書き下ろしてもらえたらいいね。そのためには実際に見てもらうしかないんだけどなぁ、この実に美しい自然現象を!

2020年3月1日日曜日

クリーム・ブリュレ。

この洋菓子を知ったのは、いつだっただろう?もともとプリンがそんなに好きではなかった僕が、いつしかプリン好きになったのは30歳を過ぎてからだと思う。きっとろくでもないプリンばっかり食べていて、美味しいプリンを知らなかっただけじゃなかったのかと、今ではそんな気がしている。
クリーム・ブリュレに初めて出会ったのは、とっくにプリン好きになった後だったので、このプリンをさらにオシャレにした洋菓子を、あっという間に大好きになったのは言うまでもない。

さて、ここで少々脱線する。1つ前の記事で映画を見せていただいたお宅の主が、映画を観終わった後に紅茶を淹れてくれた。映画の余韻と共にいただいた紅茶が美味しかったので(どちらかと言うとコーヒー派の僕だけど)、紅茶葉のことが話題になった。なんでも旭川市内の紅茶専門店で毎度手に入れていると言うそのお店ライフラプサンは、北海道最古の紅茶専門店だというのだ!
歴史の浅い軍都、旭川に「北海道最古の」なんてあるのだろうか・・・?と思わないわけではなかったけれども、彼はもともと判事さんで、モノゴトを正確に判断する癖がついていらっしゃるから、嘘であるはずがない。
それで、日を改めて行ってみようとなった。果たしてそのお店は旭川市東光(旭川東警察署の少し美瑛より)にあって、開店以来40年になる老舗だった。店内は40年の古さは微塵もなく(と言っても最近の洗練されたモダンな雰囲気ではないけれども)、適度に古さのある、居心地のいいお店でちょっぴり長居してしまいたくなる雰囲気だった。せっかくなので紅茶をいただき(2袋ほど茶葉も購入)、お供に選んだ洋菓子がクリーム・ブリュレだった。

北海道で最も歴史ある紅茶専門店_ライフラプサン

そうだ、クリーム・ブリュレ、自分でも焼いてみよう!とこの時強く意識して、家に帰るとさっそくレシピのチェック。今のご時世、ちょっとPCを覗けば、このくらいの情報はいくらでも手に入る。全くもって便利な世の中になったものです(困ったことも多々あるけど)。
ハナシはさらに3年前に遡る。実はクリーム・ブリュレ作りたい病は以前からあって、やりたいなぁーとぼやく自分の小言を聞いていたスタッフの一人が、見かねて僕にガス・バーナーをプレゼントしてくれた。これはもちろんクリーム・ブリュレの仕上げに必要なもので(なくてもできないことはないけど、超面倒)、この時よし、やるぞ!と一瞬思ったものの新館「丘のほとり」完成間近のあわただしい時期に重なって、ついに今までやらずじまいで来てしまっていたのだ。
ま、今は残念ながら暇もある。神様が少しは前向きなことをやりなさいなと仕向けているに違いないから、クリーム・ブリュレ、作ってみましたよ。プリンと比較しても、多少こっちの方が簡単にできると思う。難点は、卵の白身が余ること・・・。僕は余りが出るレシピは、本当はやりたくないんだよなぁー。

焼き上げること70分(長い!)、ちょっと気をもんだけれども実にうまい具合に完成♬食べるタイミングに少々間に合わなかったので、冷やしは外で(この点北海道の冬はいいよね)。最後のキャラメリゼに、いよいよガス・バーナー登場で、グラニュー糖を焼いて出来上がり。見た目も美しく、食べてもとても美味しく、一緒に淹れたコーヒーとの相性も抜群で言うことなし!!!
次回は少し温度を上げて、30分程度で焼いてみようと思う。


ちなみに紅茶葉を買いに行ったついでに気になるコーヒー・ショップも梯子した。さすがにお腹ちゃぱちゃぱで、コーヒーを飲むことはできなかったけれども、豆は買ってきた。旭川最古のカフェ、ちろると、ちろるからほど近い買物公園通り沿いの超人気店、宮越コーヒー旭川店。どちらのコーヒー豆も美味しいコーヒーを淹れることができたし、でもってこの2店、お店の雰囲気もいいんだよね。今度行ったときは、ぜひコーヒーを飲んでくるとしよう! ちろるは、旭川の作家、三浦綾子が何度も訪れた喫茶店。氷点執筆中の1963~1964年当時、まだ喫茶店なるお店は少なかったのかもしれませんね。81年の歴史あるちろるも、ずっと健在であって欲しいです。

2020年2月27日木曜日

マイ・フェアレディ。


日産のスポーツカー、フェアレディに一時乗っていたことがある。スタイル優先なので、使い勝手は少々犠牲になっていたけれども、運転し始めてしまえば快適にドライヴ出来るクルマだった。よく遠乗りをしたように記憶している。
高速道路の追い越し車線を少しスピードを上げて走って行くと、ほとんどの先行車が道を譲ってくれた。名前とは裏腹に、ちょっと凄みの利いた顔をしていたもんな。

さて、今回のフェアレディは、クルマのフェアレディではなくて映画の方。じゃ、なんでクルマの話を持ち出すんだと不審にお感じになる向きもあるとは思うけれども、そもそもクルマのフェアレディは、この映画(正確には映画の前に上映されていた(映画のもととなった)ミュージカル)から取られたものなのだ。
クルマに乗っているときにはそんなネーミングの由来なんてこれっぽっちも知らなかったけれども、あれから30年近くたった今、1964年公開のこの映画を見ていろいろ感銘を受けた部分も多いので、備忘録的に記しておこうと思う。

この映画の第一のインプレッションは(見る前からそうだったけれども)、名女優のオードリー・ヘップバーンが主演を張っているということ。あまり映画に精通しているとはいえない自分は、主演男優のレックス・ハリソンのことは知らなかった(ごめんなさい)。
ストーリーはシンプルで、名もないちょっぴり粗野な花売りの娘(21歳の設定のイライザを35歳のヘップパーンが演じるには、さすがに無理があったと思う)を、言語学の教授(ハリソン)が教養やマナーなどを仕込んで短時間で一流のレディに仕立て上げるというもの。紆余曲折はあるけれども、どうにかイライザは少々過酷なスパルタ教育をクリアして、立派なレディになる。そして二人はいい感じで次のステップへ・・・という映画好きには一番望ましいエンディングで結ばれている。

この映画のヘップバーンは、この映画の価値の多くを担っていたように思う。名作「ローマの休日」でスターダムに上り詰めて11年、すでに円熟と言っても言い過ぎではないくらいにキャリアを積み、演技の幅も存分に広がっていた。残念ながらアカデミーショーの8部門で栄冠に輝きながら、ヘップバーンはなぜか主演女優賞のノミネートさえ叶わなかった。それでもこの映画にはヘップバーンの存在は不可欠と言うほかはないと思うし、誰でもそう感じることだろう。そのくらいに“はまり役”を見事に演じたヘップバーンが、強く印象に残った。
一方、「君住む街かど」はじめ、素晴らしい映画音楽がちりばめられているのもこのマイ・フェアレディの魅力的な側面だ。古き良き時代のラヴ・ソングが、やはりこの古き良き時代の名画に花を添えている。見れば音楽の総指揮はアンドレ・プレヴィンが務めている。さすが・・・!と膝を叩いてしまった。

このマイ・フェアレディを観たのは、実は同じ町内に住む方の自宅シアターだ。AVに精通した彼は、ちょっとしたスピーカーだったら自作してしまうというマニアだ。ターンテーブルのプレーヤーが2台もあり、もちろんいわゆるLPのアルバムも何百枚も所蔵している。当然のことながら、音楽鑑賞や映画鑑賞のための設備が、贅沢に取り揃えられている点は、何度お邪魔してもびっくりするほどだ。いつも彼とは時間が合わなくてすれ違ってしまうんだけれども、今回のコロナウィルスによる騒動で、ウチはキャンセルの続出。連休も暇になり、ウィークエンドに彼のお宅に長々とお邪魔出来ることになった。キャンセルは本当に参ってしまうけれども、マイ・フェアレディを見ることができたのは、とても良かった。映画鑑賞をお誘いくださった彼には感謝しかない。

案外いまだに見ていない映画(中でも名画)は沢山あるし、また見てみたい作品もたくさんある。例えばソフィア・ローレンの「ひまわり」とかヘップバーンの「ティファニーで朝食を」。
高価な何かを買ったり、美味しいものを食べることも贅沢だけれども、名画を観たり名著を読んだりすることもまた、贅沢の極みと言えそうだ。そしていましばらくは、そんなことが許されるくらいに時間を持て余しそうだ・・・。

2020年2月15日土曜日

北国が故郷だったら・・・。


愛知県名古屋市に生まれて、幼少の頃三河へ引っ越してかれこれ40年近くも暮らした。正直名古屋で暮らしたことは、ほとんど記憶に残っていないので、僕にとって故郷は三河(岡崎市)だ。
美瑛に来て、はや14年目になる。すっかり慣れたと言えばそうだけれども、子どもの頃から長年暮らした岡崎のことは忘れることはない。例えば夏の夜、美瑛で上がる花火を見ながら故郷の夜空を照らす大花火大会のことを思い出す。懐かしくて、かけがえのない故郷の記憶だ。


昨日旭川市の「冬まつり」に出かけた。いつしか少し過疎の始まった北海道の小さな町に暮らしていると、旭川は大都会だ(人口35万人)。駅から買物公園通りに展示される美しい氷の彫刻を眺めながら、旭橋のたもとの冬まつり広場に向かう。広場に近づくといよいよ人が多くなって、小さい子供たちがお祭りのお店であれこれ買ってもらった戦利品を抱えているのを見るのも楽しい。
時折3、4歳くらいのちびっこが、そりに乗せられて親御さんに引かれていく。たいていはもう一人乳飲み子がいたりして、親御さんも大変だからそりは助かるだろう。そりに乗った子ども(お兄ちゃんだったりお姉ちゃんだったり)は、手に自分と同じくらいの大きな綿あめの袋を抱いている。小さな子供はみんな着ぐるみみたいな冬服を着せられて、どの子も可愛い。そんな子がそりに乗って、必死に綿あめの袋にしがみついていて、ますます可愛く見えてしまう。


北国の子供たちは、当たり前だけれどもやがて大きくなって東京や大阪の学校に進学したり、就職することになる場合もあるだろう。僕が初めて美瑛で迎えた冬、厳しい寒さのイメージが頭にこびりついて、無用な心配ばかりしていた。でもって、失敗して家の配管凍らせたこともあったな・・・。
で、北国北海道で育った子たちが、東京や大阪で迎える冬ってどんなんだろう?雪がないのはいいなぁと思うんだろうか?雪はねしたり、ブーツや長靴のお世話にならなくて済むことが、楽だなぁと感じるのかもしれない。でもきっと、2年目か3年目の冬に、物足りないと思うような気がする。あるべき雪がない、来るべき凛とした寒さがない。北海道は季節感と言う点ではすごくダイナミックなのだから!
いや、むしろ彼らが強く思い知るのは夏の蒸し暑さだろうか。美瑛(や旭川)だって、年に何度か30℃を超える日がある。愛知県の夏を思い出す、逃げ場のない暑さ。でも、湿気は全然ない。美瑛の夏は、夕方になるともう暑さはお終いで、深夜から早朝にかけて20℃前後まで気温が下がる。本州の熱帯夜は、こんな生やさしい夜じゃない。しかも来る日も来る日も暑い。もしかしたら東南アジアより暑くて寝苦しいかもしれない。

と、また着ぐるみを着た可愛い子供たちを眺めている。彼らは雪で寒いなんてぐずつかない。氷点下20℃でも、元気に遊んでいる。暮らしてみると、温度だけはものすごく低い冬も、そして爽やかでからっとした夏も暮らしやすいと思う。旭川市でも、近年は少しずつ人口減少が始まっているらしい。もちろん子供たちがたくさんいてくれたらいいんだけど、都会から移り住んで来てくれてもいいと思う。
ちょっぴり雪道の運転は大変だけれども、それでもそれにおつりが十分来るくらいにいいことがいっぱいある。

2020年1月6日月曜日

すべてに洗練されたけれども、改善しない燃費よ。愛しのスバルWRX。


新型スバルWRXが愛車として入れ替わって、2週間ほどが過ぎた。距離も500km弱乗っただろうか。まだまだこれかいろいろ知ることになると思うけれども、ここまでに理解できたこの車の個性も多い。
ここのところ愛車ネタばかりで申し訳ないけれども、古臭い流行語で言えば「マイブーム」ということでお許しいただきたい。

唯一にして最大の欠点は燃費が芳しくないことだと思う。街中(アップダウンは多いものの、信号などによるストップ&ゴーは少ないはず)中心だと8km/lに及ばない。2Lターボで1.5トンのクルマだから、けして大いに期待していたわけではないけれども、ほぼ進化なしの結果だろう。1996年からこのWRX系のEJ20エンジンを積む車に、これで4台乗り継いできたけれども、ほとんど燃費に関しては改善されていないと思う。たぶんそれは、スバルがこのエンジンをリスト落ちさせざるを得ない最大の理由ではないだろうかと推察する。
一方で歴代WRXと比べて、良くなったところもたくさんある。EJ20エンジンで言えば、低回転からもりもりパワーが出ている。ま、それも燃費向上に至らない原因の一つだと思うが、もともと苦手だった低回転域の力強さは格段に良くなった。実のところ自分が手に入れた最初のWRX1996年製)でさえ、2400回転くらいで加速に鞭を入れても(つまりアクセルペダルを思いっきり踏み込んでも)、本来の力強さは感じられなかった。3200回転くらいから上では、突き抜けるほどの力強さがあって、上までストレスなく回ってくれるエンジンではあったけれども、シフトチェンジを横着にやると、全然早い車ではなかった。でも、現行車は違う。2400回転あれば、満足できる加速フィールが得られる。たまたま当家で所有しているBMWの直6エンジンのフィールにちょっぴり近い。3Lクラスのトルクが、低回転からついてきているのは嬉しい。
さらに、回転フィールそのものが、とても緻密で滑らかなことも記載したい。S207S208)やタイプRAのように、ピストン類の計量によるバランス取りはしていない、従来通りの308馬力エンジンだけれどもメカとしての精度の良さがありありと違う。これまたBMWの直6的だと感じてしまう。
乗り心地も悪くない(もちろん素晴らしい快適さとは言えないですけどね)。ガチガチって言うほどは締め上げられていなくて、充分ストロークする設定は乗員にとって居心地のいい落としどころだ。もちろんボヨヨンと揺れが収まらないようなだらしなさは皆無だ。もともと固め(明らかに固め)のサス設定でやってきたWRXでも、ここまでしなやかにできるんだと感心してしまった。結果ハンドリングが気持ちいい。狙った通りのラインに容易に乗せられるし、今の北海道ではカウンターの戻しも簡単に決まる。もちろん自慢の全輪駆動は、この車のイチオシの秀逸さだ。

インパネも見やすくなった。ま、これは旧型がひどすぎたから、進化してもらわないと困る。旧型では暗すぎて、夜間以外はとにかく見づらいクルマだったが、その心配はなくなっていた。ブーストメーターがアナログ風のデジタルメーターで付いているが、はっきり言って不要だと思う(コントロール下にはないしね)。むしろ油温計とかあった方がまだ使える(見る機会が増える)かな。細かいことを言いだすと、やや個人的な趣味にもなるのでこれ以上のことは記さないが、全般に見やすくなったのは歓迎できる。
それから、ボディシルエットもバランスの取れた悪くないスタイルを与えられた。歴代WRX史上いちばんスタイルのいい車ではないだろうか(ちょっと自画自賛か?)。二世代前くらいのBMW3に似ている。

とここまでおおむね絶賛してしまったが、今少し気になっている車はマツダ3だ。このところ(この10年くらい)マツダがリリースする車は、完成度が高い。特にここ数年では、明らかにプレミアムカーに舵を切っている(プライスもそれを裏付けている)。
マツダ3にはスバルの様な超絶かっとびエンジンの設定がないが、ボディシルエットにも内装の質感にも、高級感があふれる。いでたちの美しさに、オーラが出てきていると思う。エンジンだって2Lスーパーチャージャーで180馬力に乗せている(ターボじゃないところに上質感があると思う)。パワーだけではない、燃焼効率の良さの追及も、自動車業界をリードしている。大メーカーとは言えないマツダは、とっくに電動化に関しては諦めているが、そのリソースを現状のエンジン(ディーゼル含む)の燃焼効率の極限追及につぎ込んでいる。そういったあれこれを勘案するとWRXのベースモデルたるインプレッサに比べたら、マツダ3はプレミアムに対する本気度では勝っている。スバルには類まれな水平対向エンジンがあるし、無敵の4駆もある(これらを左右に綺麗に対象に配置し、低重心でクルマを駆動させている)。持ち駒的にはスバルがプレミアムカーの資質足りうるアイテムを多く有しているけれども、マツダのブランド力確立に対する執念にはわずかに劣っているのではないだろうか・・・。マツダは古くは悪くない車を(めちゃくちゃ良くもないけれども)、低い価格で(値引き幅を大きくして)売りさばくスタイルでやってきたが、今のマツダにはその呪縛はもうない。好き嫌いが無いとは言えないが、今のマツダ車を支えるシルエット(鼓動デザイン)には、マツダの美しいデザインに賭ける強い意志が宿っている。

北米で大成功を収め、SUV人気に沸くスバルは、次世代への準備がちょっぴり遅れているってことはないだろうか?スバルがプレミアムブランドとなって、手が届かない車だけを供給する作り手になって欲しいとは思わないけれども、マツダの見せる情熱は、ちょっぴりうらやましかったりする。



今までに比べたら少し綺麗なシルエットを与えられたWRXに乗りながら、ふとマツダ3のことを思い出してしまった。マツダ3が少し長めに割り込んだけれども、最後のEJ20マシンを手に入れた喜びは何物にも代えがたい。なるべく長い間このエンジンを愛用したい、そう強く感じさせるだけの魅力がEJ20にはある。

2019年12月26日木曜日

最後のEJ20マシン、来たる!


クルマと聞いて、最近とみに思わされることは、自動運転への技術革新だ。究極には、全く人の操作を介さずに目的地まで行きつくことができるようになる(はずだ)。そうなれば、行きたい場所をセットしたり、燃料(充電?)をちゃんと補充しておいたりさえすれば、多少目が悪くなったって行きたいところにクルマが連れて行ってくれる。もちろん疲れ知らずだし(乗ってるだけで疲れちゃう人間の方が問題だが)、年老いて判断力や反射神経の鈍った人だって、移動の可能性が格段に広がるに違いない。
これはどう考えたっていいことばかりだ。そもそもスケジューリングされた自動運転は、あおりなんてしないし、されても気にもしない(気が付かない)だろう。

ところがどっこい、目的地に行くことが目的でクルマを利用するのではなくて、ただ単にクルマの運転を楽しみたい向きにはどうだろう?いわゆる運転好き、の人にとっては・・・?せっかくの運転する楽しみをクルマに取り上げられてしまうから、あんまり嬉しく思わないんじゃないだろうか。
まさに僕もそうだ。もちろん目的地に行くことが目的の場合が多いけれども、そのために運転するクルマを、運転を楽しむための道具(とても高価だけれども)として捉えている面も大いにある。なんだかまどろっこしくなってきたけれども、要は運転が好きなので自動運転は賛成できない、ということがひとつ(これ、社会に対して非常に後ろ向きというか、場合によっては反社会的かもしれないですね)。そして運転が楽しい車が好きです、ということが2つ目。最後に、今後自動運転化は進むだろうけれども、運転して楽しい(自動運転ではない)クルマも、居場所があると思うよ、が3つめです。

今までお世話になったインプレッサWRX_STI
で、1つ前の記事にも書いたけれども、スバルの作るEJ20型エンジンてのがありまして、これは運転を楽しくさせるクルマの要素として、非常に大きなファクターとなっていると感じる次第。さらに(これも書いた通り)この2019年受注分の限られた車種をもって、31年間作り続けてきたこのエンジンの生産終了が発表されました。
今、乗っているインプレッサというクルマにはEJ20型エンジンが搭載されていて、運転するのがとても楽しい車なのです(通称GRBと言います)。が、まもなく(2020年1月)11歳&車検。13~15年くらいクルマを乗り続ける僕にとって、もう1回車検通すのは既定路線・・・のはずだったんだけど、EJ20エンジンを積んだ車が2年後には選択肢にない、ってのはどうなのよ?
新しくやってきたWRX_STI
とまぁそんなあれこれが相まって、よし、車検1回分早いけれども今のうちにEJ20積んだ新しい車に乗ろうか・・・ってことになった。車種は1車種しかないので迷うこともなくWRX STIに決定。しきりにその点を突いてきたスバルの営業柏原氏に寄り切られてしまった感は否めないが、試乗させて欲しいと頼んだら「今はない(たぶん試乗車は回ってこない)」と言われたのは悲しかった。よって今回も(ここ連続で3回目!)、試乗なしでクルマを選ぶ(決める)ことになっちゃった。もっとも今運転している車の最新型だし、自動車雑誌の書評では好印象で記事が掲載されていることも安心材料になった。

果たして、契約した日を忘れてしまうほどに待たされた挙句、ついにWRX STIを引き取りに行くことに。何度か経験した新しい車との出会いに、やはりココロ踊る自分がいた。取り扱いに関する説明はほぼほぼ皆無で(あとで取説読んでおいてね、でお終い。まぁスバルさんとは長いお付き合いですし)、さっそく車に乗り込んだ。シートのホールディングがすごく良くて、疲れ知らず。でもって、Aピラーが少し細くなり、補助Aピラーがさりげなく直立していて、その間にいわゆる三角窓みたいなはめ殺しのガラスがあるんだけど、これが抜群に視界をよくしている。気にしていたリアスポイラーも後方視界を邪魔しないからおおむね全方位よく視認できる車になっていた。
三角窓、視界よし!
シフトをローに入れ(はい、またマニュアル車でございます)、お、この節度感も高品質を印象付けるかっちりしたもので気分よくスタートしました。そして・・・、僕は予想以上に新生なったEJ20エンジンにとろけたのです。苦手だった低回転域で、素晴らしいトルクの付きを感じさせ、少しだけれども重たくなったボディーを軽々と加速させてみせた。EJ20エンジンとの初めての出会いは、1996年の秋でした。えーと・・・23年前。この時手に入れたインプレッサは(GC8って言います)、1250kg。この時から低回転はちょっと苦手なエンジンでした。それが今や車重1500kg(2割増し)。馬力も2割増しになったとはいえ、さすがに1500kgの隆としたボディーを引っ張るのに、2000.c最強とはいえEJ20には低回転は荷が重い・・・。と、覚悟していたのに、ぜーんぜんもたつかない。走り出しから抜群の加速。嬉しい誤算って、こういうことかぁーとひとりでにやけてしまう。すかさずギアを2速、3速に上げて行きエンジンが暖まったところで少し上まで回してみた。クォーンと乾いた高域のビートが、身も心も、そして鼓膜さえも魅了する。いつしか聞くことのなくなった「カムに乗る」エンジン音に、またしてもとろけたのでありました。
低回転で素晴らしい粘りを見せたエンジンは、いわゆる下をどうにかしたので上はゴメンよ、なんてことはなくまだ6000しか回していないけれども、ヨユー。超余裕!たぶんカタログにもある通り8000までよどみなく回る感じ。すごい、さっすがEJ20だ!

意外と端正なシルエットです
乗り味は、気持ちのいい硬さで、文句なし。ちゃんとロールするけれども、巌のような剛性ボディーが揺れを受け付けない。お客様をお乗せするのには固すぎるかもなぁと思わないことはないが、ひとりで運転してたら抜群に快適なセッティング。GRBはハッチバック車だったけれども、今度はセダンになりまして、多少大きい荷物を積むのが苦手になったけれども十分許容範囲(そもそも僕が好きなドライバーズ・カーとしては少し大きくなっちゃったからなぁ(全長4595mm))。
細かいことだけど、ドアのロック(&ロック解除)がBMWと共通になって使い勝手が良くなったことと、同じくドアミラーの開閉もボタン位置が変更になって(ドアに移動した)、暗くても探すのに困らなくなった。

今のところ馴染めていないのは、ハンドル。6時方向につぶされていて、まん丸くない。こんなの真円でいいのにね。それとほとんどデジタル化されたインパネ。トリップ・メーターの操作方法さえわかんないのが現状(きっちり取説読まなくちゃ)。と、営業と相談した結果、ナビ付けなかったのでなんとなく物足りない感じ。これからナビはスマホにとってかわられる時代になりそうです。
スバル自慢の安全運転システム、アイサイトもつかない(ので、クルマがあれこれご忠告しない)少々昭和なクルマですが、大いに気に入ったのは間違いございません。蛇足ながら(と言ったらスバルに叱られますが)、今までのEJ20搭載車の中では、なかなかに美しいボディを与えられているように思います。
ということで、EJ20速報を終わります。

次回は(誰も待っていないのは承知しておりまする)、1か月後くらいに、燃費なんかも含めて感想書けたらと思います。