2014年3月1日土曜日

富良野線のありがたさを感じながら・・・


クルマが好きで、運転が好き。そんな僕ですからJRに興味がないかと言うと、実は鉄道の旅も大好き。駅って何とも不思議な空間で、ここからいろんなところに繋がっているかと思うと、わくわくしちゃう。空港も大好き・・・。

あと、2か月ちょっとでJR北海道の江差線が廃線になる事が決まっていて、我が町美瑛を行く富良野線のことが気になってしまいました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E5%B7%AE%E7%B7%9A
それにしても北海道の鉄道の歴史は、炭鉱ラッシュとでも言えばいいのでしょうか、往時の路線図からどんどん目減りし、さらに廃線化していくさまが、あまりにも強烈です。いつのものかわかりませんが、全盛期、2004年、現在(2014年)の路線図を見ると、スカスカになって行くのがわかります。
http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/006/487/46/1/116523042215626946.jpg
http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/006/487/46/1/116523898015612932.jpg
http://www.jrhokkaido.co.jp/network/barrier/maptop.html
1968年(昭和43年)に当時の国鉄諮問委員会が提出したいわゆる赤字83線が、その後どんどん廃線化され(江差線もその一つですけど)、あるいは民営化された後に廃線化されて現在に至る様子は、特に北海道で顕著だと思います。

現在のJR北海道を語る場合に、大きなふたつの出来事が挙げられます。ひとつは国鉄からの民営化です。1987年に6分割+貨物で7つのJRに分けられたうちのひとつJR北海道は、たっぷり(と言えるかどうかはビミョーですが)の持参金(経営安定化基金)とともに民営化されました。しかし、そもそも利用者数と経費から割り出される経営指数は、たちどころにほころびが出てしまう。
ひとつの例として根室本線池田駅から北見駅までを結ぶ、いわゆるふるさと銀河鉄道は、年間利用者200万人を超えていた網走本線時代とはうってかわり、2003年には50万人を切ってしまいます。途中鈴木宗雄衆議院議員の名前も出てきたりしながら2006年に廃線。結局利用者数激減の波はいかんともしがたく、路線バスへと使命を譲る運命をたどりました。
もうひとつのJR北海道のターニングポイントと言うと、2011年5月の石勝線におけるスーパーおおぞらの火災事故。これはJR北海道の民営化スタートの行く末に、起こるべくして起こった人災なのかもしれません。事故はJR北海道の体質に依るひとつの現象ですから(まぁ氷山の一角みたいな)、次々に事故は続いてしまう。果ては安全管理のためのデータ改ざん、元社長の自殺にまで発展。国土交通省も異例の3度の改善命令を発令します。

こんな変遷の末に、最近目にするのは、JR北海道を批判する世論です。存続自体を否定する論点は、安全を確保できない経営体質なんだから、もう止めろと・・・。函館まで新幹線が乗り入れることが決まっていますが(最終的には札幌を越えて旭川まで、ということらしいですが)、新幹線の運営をJR北海道に任せられるのか?という意見も。僕の目にする限り、一個人の、しかもテクニカルな分野に精通しているような人ではない人の短絡な視点に見えますが、シンプルに考えたら事故ばかりの路線を放置できないって言うのもわからないではありません。2012年の日平均利用者数一桁の駅が、およそ400あるうちの118駅もある北海道・・・(ちなみに美瑛駅は240人で、全北海道中113位)。

トンネルのない富良野線を行くJRの横を、国道237号線が並走しています。国道にはバスが運行されている。したがって、廃線に伴い、バスへの切り替え準備が出来ている、とも取れますが、現状はJR、路線バスとも採算に乗れていない(どちらか辞めたら乗るかは知る術もありませんが)。
富良野盆地をとことこと行く富良野線、そして厳冬の真っ白い世界を粉雪飛ばして走る富良野線。どちらも北海道の(そしてこの上川地方の)素晴らしい景観であると共に、地域住民のなくてはならない生活インフラ。都会(札幌とか新潟を除く)から比較すれば、こんな雪国で、冬は止まっているときの方が多いだろう、なんて危惧される意見もありますが、僕の知る限り富良野線が雪で運行を止めるなんてことはありません。いつまで富良野線が走り続けることができるのか、値上げするのか、補てんするのか、本数さらに減らすのか、ノロッコやめるか(夏季に営業する展望列車)、旭川空港まで乗り入れて活路を見出すのか、その合わせ技か、やっぱり廃線しかないのか。

便利で大好きなクルマを運転することが多いけれども、それでも年間10往復以上美瑛・旭川間を利用する僕にとって、できることなら富良野線は存続させていただきたい。乗れば、その利用者はほとんど学生(高校生)と高齢者。
一番の解決策は、利用者の増加なのだとは思う。現実に、あくまでも主観でしかないけれども、旭川市は住みやすい街。医療(国立の大学病院、ほかに総合病院2院)、文化、学校、交通(旭川空港、函館本線)、そして北海道の食。ここに移り住むまで恐れていた真冬の寒さと雪だって、1度暮らしてしまったら全然苦にならない。むしろ本州の真冬の寒さ(家の中)と、真夏の暑さに比べたらはるかに快適なレベル。このあたり、うまく発信しきれていない。

少しずつ少しずつ過疎化が進む北海道の小さな街を結ぶJR富良野線が、消えてなくならないことを期待したい。部外者(ここに(広くは北海道に))住んだこともない人たちから表面的な批判をされてしまうのも仕方がないのかもしれないが、合理的に変えて行くことだけが住みよい街づくりになる一つの答えではないはずだ。

4 件のコメント:

  1. 鉄道を愛するのももうすっかり北海道人目線ですね。私も嫌いではありませんが昔に比べると乗ることはめっきり減っています。子供の頃毎年海水浴に行くのは蒸気機関車での小旅行、開け放った窓から入ってきた黒いすすが今は懐かしい。大学生の頃の帰省は殆どブルートレインでした。会社に入ってからは大阪にいた10年ほどの間に東京本社へ行くのに何度新幹線に乗ったことでしょう。
    それにしても安全軽視のJR北海道のマネジメントには呆れます。鉄道マンの誇りなど持ち合わせていないようですね。

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  2. Youngさん、いつもありがとうございます。JR北海道の鉄道マンの誇りは、今でもわずかに息づいていると信じます。しかし経営難から採用の空洞化が起き、かって国鉄時代に北海道を支えた優秀な人材は、すでに退社。
    一方でコスト削減の常套手段として、アルバイト化・外注化が進みます。こういうことに目を向けないまま「JR北海道止めちまえ」と言ったって、不毛なことです。赤字を解消するのにこの3月15日から値上げをします。これからどうするのか、JR北海道も安全だけでなく経営の情報開示をして、利用者と真剣な議論をしないといけません。氷点下30℃の厳冬の中、保線のために汗を流す鉄道マンは少なからずいてくれます。お金と人と、そして何より知恵と工夫が求められています。バス・ドライバーの運転が大変うまいことは周知ですが、鉄道に比べたらやはり安全に差はあるでしょう・・・。

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  3. 私が我慢ならないのはマネジメントと書いた通り、とんでもなく低レベルの経営者たちです。誇り高き鉄道マンがいるであろうことについては私も同意見です。

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  4. Youngさん、経営者および経営サイドにいる人たちには、もうちょっと真剣に向き合って欲しいですね、確かに。たぶん、切り札がないんじゃないかとは思いますが、事故があれだけ起きてしまうまで放置(たぶん追認している)したツケは、ものすごい大きな惨事になって表面化してしまっています。
    まずは、情報開示をしっかりしてプライオリティーを絞り込まないといけませんよね。ただ漫然と「自分が在任中は大過なく」なんてこと言っていられない状況ですから。

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