2018年3月4日日曜日

愛しき厳冬の丘風景。


毎年、お正月が過ぎるころになると、ちょっぴりお客様のご来館が減って、少しずつ自分の時間が持てるようになる。今年はありがたいことに2月下旬まで結構忙しかったので、自分時間のお楽しみは2月も末になってからになった。
2月下旬までのお客様は、いわゆる中国系の「旧正月」連休を利用して当館に来てくださるアジアの(中国系の)お客様が多かった。インバウンドの好調な推移の数字のことは詳しくわからないけれども、当館にもこうして確実に海外からいらっしゃるお客様が増えている事実を鑑みると、それが現実として理解される。

アジアの、それも日本でいえば九州以南のお客様(具体的には上海、香港、台湾、シンガポール、そしてタイなどからいらっしゃるお客様)は、雪景色を見ただけで別世界感を存分に経験していただけるのが北海道だと思う。
実のところ愛知県育ちの僕自身にとってさえ、北海道の冬は感動的ですらある。移住して12回目の冬だというのに・・・。よく、12月に入って町がクリスマス風に模様替えを整えるころ、ホワイトクリスマスをテーマにした音楽だったり映像だったりが、メディアや雑誌のグラビアに登場する。すごく雰囲気はある(から飽きもせずに毎年出番があるのだろう)けれども、実際にお目にかかったことは1度だってない。ここ数年降雪機会が多くなってきているので、もしかしたら可能性はあるかもしれないが、現実にクリスマスの時に町が雪に覆われて真っ白くなる、なんてことは起きはしない。
ところがこちら北海道ではまったくそうではなくて、クリスマスの時に雪が積もっていない・・・ということは考えられない。まごうかたなき銀世界になる。クリスマスは、もちろん普通にホワイトクリスマスだ。もっとも北海道生まれ、育ちの人で「雪が好き」な人にお会いしたことはない。きっとクリスマスもホワイトじゃない方が好きなんだろうなぁと勝手に想像している。

クリスマスを迎えると、そんなことを毎年思い出す。まだ年内は美瑛のお天気はやや下り坂なことが多くて、どんより曇り、たくさん雪が降る。これが年が明けて間もなく快晴の日が多くなり、2月になると、真っ青な空と真っ白い大地の日々が続く。快晴の早朝、日によっては氷点下25℃より冷え込むこともあって、凛とした冬の北海道の美しさに包まれる。
個人的に好きなのは、なんといってもダイヤモンド・ダストだ。空気中の水分が結晶して、小さな氷の粒になって舞い落ちる。マイナス17、8℃よりもう少し気温が下がらないと見えない。あとは日の出の陽光が降り注ぐことと、無風(かせいぜい微風)という条件がそろえば、ほぼ確実に見ることができる。
もちろん肉眼で見るダイヤモンド・ダストは十分に幻想的だ。晴れて、なにかが降るような気配が全く感じられないのに、空気中にあった水分が析出して、キラキラと小さな氷の結晶が粉雪のように舞う。しかもカメラの望遠レンズを通して見ると(それもピントを大きく外して見ると)、ダストは七色にきらめいて、さらに美しい。ダイヤモンド・ダストの量が多い日には、昇る太陽の下に、ダイヤモンド・ダストが一直線に伸びて光の柱になる。いわゆる太陽柱(サンピラー)と呼ばれるもので、これは1月から2月の寒い朝に5、6回程度しか見ることができない。
太陽柱はもちろん、ダイヤモンド・ダストも特別なもので、毎日お目にかかるものではない。その分運よく見ることができた朝は、なんだかすごくラッキーな気分になる。普段からお目にかかれない方が、ありがたみがあるってことだと思う。

幸運にも、この冬は僕に少し時間ができた2月の最後に連続して2日間ダイヤモンド・ダストが舞った。しかも初日(2月26日)は、サンピラーも目にすることができた。自分が何かご褒美をもらえるような行いをしたわけでもないのに、なんだかそんな気分にさせてくれる、厳しいそして第三コーナーをまわった美瑛の冬を満喫する日が続く。

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