2013年11月8日金曜日

食材の誤表記に、考えさせられること。

超一流のホテルで供される食事の、材料誤表記・誤表示で、またぞろ謝罪会見のラッシュになっています。そもそも芝エビなんてたくさん獲れるものでもないので、あまりにありふれた材料になっていたように思いますが、この誤表記の問題はかなり根が深いと思うんですよね。
自分自身いろいろな食材を調達して、それを料理としてお出ししていますから、本当に考えさせられる問題です。例えば美瑛の多くの小型宿泊施設(ウチも含めたペンションやコテージ)では、自家製のソーセージをお出ししています。ですから中には何が入っているのか、すべてわかっています。まぁ実際には豚肉と塩と香辛料を混ぜて詰めているだけですから、いわゆる添加物や着色剤や化学何とかは皆無。でも、北海道産の豚肉は、表記を信じて使っています。
あるいはお味噌でしたら実際に農家さんから仕入れるわけですから、これは間違いなく出所は掴めていると言えます。でも、正直魚介類はじめいろいろな食材を仕入れるにあたって、表示を信じて使うことは避けられません。

謝罪会見で説明される内容は、不作為(だます意図は無かった)とどこでも話されていますが、僕自身は作為であったのだろうと疑っています。と、同時に材料の海老を芝海老と表記することについては、もともと無理があるはずだと考えます。
食材は、安定入手が容易でないことは、仕入れをしている方皆さんが直面していることだと思います。主婦の方から大型のレストラン・チェーン店、そして高級料亭やくだんのホテルのレストランの仕入だって例外ではないでしょう。もともとは「今日手に入る、いいと思われる食材」で成り立つ部分は少なからずあるはずですから、芝海老と1度記載したメニューがいつしか独り歩きし、車海老(さいまき)はブラックタイガーに、越前ガニは紅ズワイガニへと変遷して行く可能性は大いにあります。さらにそこにはコストダウンの圧力も後押ししていることは、紛れもない事実なのではないでしょうか?

一方で、食べる側の味覚音痴も事実としてあると思うんです。僕自身、天婦羅になった車海老とブラックタイガーを見分けられるほど海老に深くかかわっているとは言えませんし、味覚が繊細で優れているとも言えません。お恥ずかしいお話しですが、お寿司でたまたまあったカレイとヒラメをお願いしたことがありますが、ほとんど味の差はわかりませんでした。増してや神戸牛なのか米沢牛なのか、たまたま素晴らしい霜降りの輸入の牛なのかとなると、食べてもわからない、と言うのが一般的なような気がします。

総じて食を(料理を)供する側としては、○○の海老等の表現は控えて行く方がいいように感じています。食材にもっともらしい形容を付けてみたところで、美味しくないと本末転倒なように思えてしまいます。天然酵母で国産の小麦で・・・、でもあんまり美味しくないパン(でもってちょっぴり高い)を、ありがたく買うようなことは止めた方がいいですよね。美味しい「食」のために許されるコストの中でそろえた結果、こういう食材を使っています、と美味しい優先で(もちろん安全は絶対優先で)行けばいいんじゃないでしょうか。
お客さん:うーん、今日の海老天、うまいねぇ!
店主:ええ、実は活きのいい車海老がお値ごろで手に入ったもんですからね・・・。
でいいと思うんですけど?

食べる側としては、自分自身の“美味しい”のモノサシがあったらいいと思います。そういう僕自身、これがなかなか怪しくていけませんが、でも、食べることは生きて行く上でとても優先順位の高い「満足」の一部だと考えています。せっかく食事をするんですから、ぜひ美味しく食べたいなぁと。そのためには、食と食材に、少しでも興味を持ったらいいんじゃないでしょうか。メイクイーンと男爵の違いを、料理をする人は誰でも知っていると思います。あまり値段は変わらないと思いますが、何を作るから男爵だ、ということは当然あるわけです。そこからどんどん派生して行って少し食材に知識が加わると、このシシャモは北海道産なのか輸入品なのかはわかるように思います。そうした食べる側(買う側)の目がレベルアップしていくことで、少しでも誤表記の居場所がなくなるように思います。

今日の画像は、美瑛のカフェ「北工房」さんで購入したコーヒー豆。いつも買っているタンザニア(いわゆるキリマンジャロ)が欠品中で、じゃあモカは、と聞くとこれまた欠品。本当に材料の入手って思い通りにいかないでしょ・・・!それならオススメは何かと問うと、これかなぁと言うことでグアテマラの豆を買いました。さっそく家に戻って淹れてみたらこれが美味しいんですよね。うーん、あんまり違いの分からない僕の味覚って、やっぱり問題ありでしょうか?

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